突然、水も食べ物も絶たれた場合
生命を維持していく上で重要なことはいくつかあります。人間でいえばまず酸素があることですが、その他にも致死率の高い病気にかかってないことや気圧が適度であることなど、生命の根源に関わる事例を上げればいくつもあります。
ですがテーマを絞って、仮にあなたが大地震に遭遇し、幸いにも火事による高熱や一酸化炭素による中毒もなく呼吸も出来て、ただ建物の中で生き埋めの状態となっただけの場合、救出を待っている間に生きていられる最も重要な条件とは、水と体温の確保です。
多少暑いというのは耐えられても気温が低すぎれば凍死となります。そして重要なのが水です。
水は食べ物よりも大事で、人間は何も食べなくても一ヶ月くらいは生きていけるということですが、水を絶たれると三日ともたないと言われています。
ある目的のために自分から絶食に入った人は別として、ごくたまにニュースで見かける、こうした場合や、海で漂流せざるを得なくなった人たちは本人の意思に反して突然水も食べるものも絶たれます。
何日も食べ物がほとんどない状態で生き延び、救出された人たちのニュースもたまに見かけます。
フィリピンで大地震にあって生き埋めになったある男性は、自分の尿や負傷した腕から流れる血液まで舐(な)めて生き延び、14日目に救出されました。
雪山で遭難した日本人男性は、雪を食べて水分を補給し、持っていた風邪薬を舐めて12日後に救出されました。
漁船のトラブルで動けなくなった中国の漁師たち10人は海上を漂っている間、雨水を飲み、ダンボール箱を食べて飢えをしのぎました。ダンボール箱に入っていた食料という意味ではなく、ダンボールそのものを食べていたのです。
そしてその状態で24日間も行き続けて救出されました。ダンボールには木糖(もくとう)が含まれており、糖分をわずかでも摂れたことが幸いでした。
また、日本でも、山で遭難し幸いにも小さな川を見つけたので、そこでオタマジャクシをすくっては生きたまま丸呑(の)みにして飢えをしのいで救出されたという人もいます。
はいていた靴が牛皮だったので靴を食ったという人も世界にはいます。
食べ物がほとんどない状態でも「生きる」という強い意志で何日間かは生存可能のようですが、水だけは生命保持の必須条件となります。
ちなみに絶食の世界記録は2008年に中国の李振家さん(写真)がなし遂げた57日という記録があります。
もちろんこれは固形物を食べなかったということであり一切水を飲まなかったということではありませんが、それでもすごいことです。