断食してても大便は出る
公衆便所などで、流してないウンコを発見してしまったらものすごく嫌なのですが、自分の大便はとても重要なものです。3日以上出ないと便秘という感じがしますが、出るべきものが出ないと何かの病気なのではないかと不安になります。
大便の正体は、食べ物が消化された残りものだということは誰でも知っていることですが、では何日も全く食べなければ大便も出ないかというとそうではありません。回数や量は減っても出るものは出ます。
体外に出されるものは、食べ物のカスだけではなく、腸内菌や腸壁からはがれ落ちた古い細胞や、分泌された粘液などが含まれます。
内臓を形成する細胞も食べた物によって新たに作り直されていますから、腸も同じく、腸壁の中でくたびれて古くなった細胞は自然にはがれ落ちて、腸内で形成された大便に混じって外へ出されます。
食べ物のカスはなくとも、体内の分泌物や古い細胞といった形で、断食していても大便は出るのです。
食べ物を胃に入れてから大便となって出るまで最速で14時間と言われます。健康な状態だとだいたい1日半くらいが普通です。食べ物が早く出されるということは消化不良ということで、そういう時は下痢気味のものが出ます。
色の持つ意味
人間が食べるものには様々な色がついており、ご飯やダイコンだったら白とか、牛肉なら茶色、野菜なら緑や黄色といった感じです。
徹底してご飯しか食べなければ白い大便が出そうなものですが、実際にはちゃんと何らかの色がついています。これはビリルビンという胆汁に含まれる色素が関係しています。
胆汁は胆のうに含まれ、十二指腸に消化物、つまり大便がやってくると分泌されて色づけを行います。そのために白いものしか食べていなくても色がついた大便が出るのです。
ビリルビンは大便の酸度によって発色が異なります。乳酸菌やビフィズス菌が多い健康的な腸内では弱酸性となり、この場合は茶色よりも黄色に近い大便となります。
食べたものが体内での通過が早いと、胆汁が化学変化を起こす時間がないので、だいだい色に近い黄色いものが出てきます。下痢便が黄色であるのもこのためです。
また、肉類を多く食べると黒みがかった緑色になり、鉄剤などの薬を飲んだ場合には大便は黒くなります。白色に近い便が出た時には、食べ物のせいではありません。この場合、肝臓か胆のうに異常がある病気の可能性があります。
下痢の時にはおよそ2時間で食べたものが大便となって出る場合があります。この間、身体の中を通過しているわけですから、大便を見れば自分の身体の状態の判断の目安になります。色・形・においが判断材料になりますが、色は大きく5種類に分けられます。
茶・・一番健康な状態です。子供の場合は少し黄色を帯びた茶色が健康な状態です。
赤・・伝染病や食中毒の疑いがあります。痔の出血や肛門に近い腸の出血の時にも赤くなります。
黒・・胃や小腸の病気の時に多い色です。肛門からわりと離れている体内で出血すると出た大便は黒になります。
緑・・赤ん坊に多い色で、腸の中が酸性になっているからで、別に問題はありません。
白・・肝臓や胆のうの病気の可能性が高く、危険な状態です。
健康な時の大便は比重が1.06くらいですから水に沈みます。水に浮く大便の時は脂肪が多くなっているということで、消化不良の1つの目安になります。
理想的な大便は、太さが2cm、長さが10cmから15cmくらいです。朝、こういうものが出れば身体のコンディションは好調ということです。また、1日の大便の回数は下痢でない限りそれほど神経質になる必要はありません。
動物の生態を調査する時には、その動物のフンを分析することが生態調査の基本と言われます。それほど生物の排泄物というのは身体内部を反映する色々なデータがつまっているのです。