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No.007 小学校一年生の女子児童を誘拐し殺害・小林薫

少女を悪戯(いたずら)目的で誘拐し殺害。遺体を傷つけて写真を撮り、その写真を母親の携帯に送信した。


(被害者は仮名)
▼事件発覚

平成16年(2004年)11月17日、奈良県奈良市 学園大和町で、下校途中のKちゃん(小学校一年)が、13時40分ごろ母親と携帯電話で話したのを最後に行方不明になった。

心配した両親は18時45分ごろ警察へ連絡し、一緒に付近を捜索する。そして20時04分、母親の携帯にKちゃんの携帯からメールが届く。しかしそれはKちゃん本人が送ったメールではなかった。メールに添付された画像は、無残にも殺されたKちゃんの遺体の写真だったのだ。

この写真を見た奈良県警はただちに誘拐殺人として捜査本部を設置する。そして深夜0時06分、誘拐現場から約6km離れた平群(へぐり)町の道路脇の溝の中にうつぶせになって放置されていたKちゃんの遺体を、車で通りかかった人が発見した。遺体は歯が何本も抜かれており、顔や手足は傷つけられていた。

複数の目撃証言から、Kちゃんは30歳前後の男に車で連れ去られたことが分かった。また、遺体のメールを送った地域が現場周辺であることも分かったが、それ以上はなかなか捜査は進展しなかった。


▼携帯の送信記録

そして約一ヵ月後の12月14日。捜査のために警察に預けておいたKちゃんの携帯に犯人から二通目のメールが来た。それには「次は妹だ」と書かれており、メールは父親や親戚のもとにも届いていた。

12月25日。事件に新たな進展があった。Kちゃんの携帯から、ある携帯へデータが送信されたのだ。

送信を受けた携帯の持ち主を調べる。これは簡単に割れた。しかし、この人は「自分の友人が携帯の契約をする時に名前と住所を貸していただけ」で、実際にこの携帯を使っているのはその友人だという。

この携帯を日常使っていたのは小林薫という男だった。(小林薫・36歳・新聞販売店勤務)。つまり小林は、殺害したKちゃん遺体をKちゃんの携帯で撮影し、その写真をKちゃんの携帯から自分の携帯に送信したのだ。

小林は「勝手にメールが送られて来た」などと言いながら、この遺体の写真を周囲の人に見せびらかせていた。


▼小林逮捕

12月30日。小林を犯人と確信した警察は、新聞配達を終えて帰ってきた小林に任意同行を求め、家宅捜索も行う。小林の部屋からKちゃんのランドセルや携帯、衣類などが発見され、小林を追求したところ、犯行を認めた。

あの日、下校途中のKちゃんに声をかけ「車で送ってあげる」などと言葉巧みに車に乗せ、約10km離れた奈良市三郷町の自宅アパートに連れこんだ。そして水を入れてある浴槽の中にKちゃんの頭を押さえつけて殺害した。

小林は1989年(当時20歳)に、女児に対するワイセツ罪で逮捕されている。そして2年後の1991年にも、幼女にいたずらしようとして騒がれ、その幼女の首を絞めていたところを、通りかかった人に見つかり、取り押さえられている。この時は懲役3年の実刑判決が出ている。

出所後は新聞販売店に勤務したが勤務態度は非常に悪く、数々のトラブルを起こし、また店の金を持ち逃げするなどして、販売店を転々としていた。


▼死刑を望む

裁判でも小林は全く反省の色を見せず、「自分は死刑を望んでいる」と、終始なげやりな態度だった。また、被害者の遺族の感情を逆なでするような発言を繰り返し、己の罪と向き合おうとしない。例えば、

「自分のやったことは人間のすることではないが、後悔はしていない。」

「望んだことが出来て満足している。(Kちゃんの)親の気持ちなどどうでもよかった。」

「悪いことをしたとは思わなかった。」
「他人が経験出来ないようなことを経験出来た。」
「一種の社会勉強と思っていたので反省はない。」

「反省の気持ちも更正する自信もない。」
「早く死刑判決を受け、第二の宮崎勤、宅間守として世間に名を残したい。」

(歯を抜かれて血まみれになった被害者を見てどう思いましたか。)
「人という感じはなかった。傷ついた壊れたおもちゃとしか思わなかった。」

(遺体の写真をまわりの人に見せびらかせたことについて)
「誰も持っていない画像なので周囲に見せびらかせたかった。」

(次は妹だというメールを送ったことについて)
「マスコミの報道が下火になり、面白くないと思った。」

などである。

平成18年9月26日。奈良地裁で死刑の判決が下った。弁護側は控訴したものの、小林の意思で控訴は取り下げられ、10月10日、望み通り死刑が確定した。平成25年(2013年)2月21日、小林薫被告の死刑が大阪拘置所で執行された。


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