アメリカ・テキサス州のサン・アントニオにある、「サン・ファン・ミッションの踏切」は呪われた踏切と言われている。夜になると線路の上に人魂が何個も出現し、ゆらゆらと漂っているところを何人もの人間が目撃している。

1998年8月24日、22時ごろ・・、ジャニス・ラリーとその友人三人は、車に乗ってそのサン・ファン・ミッションの踏切を通りかかった。何の気なしに踏切を通過しようとしたその瞬間、踏切の20メートルくらい手前で、運転手であるジャニスは線路の上を飛び交う人魂を突然発見し、びっくりしてブレーキを踏んだ。


「どうしたんだ!ジャニス!」と、友人たちも驚いて声をかける。
「あれ、見てみろよ!」

見ると線路の上の方に人魂がゆらゆらと2~3個漂っている。そしてしばらく見ていると人魂は4つ、5つと数を増し、いつの間にか10個くらいに増えていた。

友人の一人がたまたまカメラを持っていたため、慌ててシャッターを切る。人魂は相変わらず消えずにその辺を飛び回っている。そしてもう一枚撮ろうとした時のことだ。
突然、ガクンという衝撃のもとに車が動き出した。


「何やってるんだ、ジャニス」驚いた再び友人が叫ぶ。
「違う!俺は何もやっていない!」アクセルも踏んでいないのに車が勝手に動き出したのだから、驚いたのは運転手であるジャニスの方である。しかもここは上り坂になっているというのに、車が勝手に動き出したのだ!


急いでブレーキを踏んだが、まるっきり手応えがない。何回踏んでも同じだ。その間も車はゆっくりと動き続けて、どんどんと踏切に近づいている。全員から悲鳴があがった。そしてあと10メートル弱というところまで来たとき、突然前方の人魂は次々と消えていき、それに合わせるかのように車も止まった。


「助かった・・。」全員から安堵の声がもれる。恐怖で固まったジャニスたちは急いでその場を離れ、一直線に自宅に逃げ帰った。
しかし、ジャニスの家に着いてみんなが車から降りた時、更にそれを上回るような恐ろしい事実を発見した。なんと・・車の後ろのバンパーにベビーパウダーのような子供の手形がいっぱいついていたのである。

子供の幽霊が車を押していたのか・・? 恐ろしいことだが、こう考えればつじつまは合う。翌日ジャニスはすぐに「サン・アントニオ・エクスプレス」という地元の新聞社を訪れ、昨日の体験を話してみた。


するとやはり・・この踏切には昔、列車とスクールバスが衝突して何十人のも子供たちが犠牲になった大事故があったというのだ。しかも昨日体験したような、人魂が現れては車が勝手に動きだし、踏切に吸い寄せられるというような現象が頻繁に起こっているいることも判明した。

一ヶ月くらい前、長距離トラックの運転手が、ジャニスたちとまったく同様の体験をし、トラックのバンパーには、やはり子供の手形が無数にのこっていたという。しかもこの時には子供の手形に混じって、大きな手形も残っていたというのだ。

人魂といい、手形といい・・不慮の死によって非業の最後を遂げた子供たちの怨念がこの踏切には住み着いているのだろうか。


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