Top Page 心霊現象の小部屋 No.16 No.14
1930年10月5日の深夜。フランスの北部に一機の飛行船が墜落した。飛行船は大音響をあげて爆発し、48人の死者を出した。この時の生存者は6人。 この飛行船の名はR101号といい、イギリスが4年の歳月をかけて開発したもので、全長237メートル、重さ90トンという巨大な飛行船であった。R101号は、この日が処女飛行、つまり初の飛行だった。だがロンドン近郊の基地を飛び立ち、インドに向かっている最中、この惨事を引き起こしてしまったのだ。 事故の原因については色々と憶測が飛んだが、「これだ」という確定的なものが得られず、それなら降霊会を開いて事故に遭った人の霊を呼び出して聞いてみたらどうだろう、という意見が出始めた。 イギリスといえば幽霊好きの国民性である。幽霊が出る屋敷や城を一覧表にした「幽霊リスト」という本が売られていたり、あちこちの幽霊屋敷を見て回る「ミステリーツアー」という旅行を、旅行会社が行ったりしているようなところだから、この当時でもそういう意見が出ても不思議ではない。 そして後日降霊会は開かれた。霊媒になるのは一人の女性。この女性に船長の霊を宿して船長の意見を聞きだそうというのだ。始まってしばらく経ったころ、船長の霊らしきものは現れた。もちろん、この時点ではそれが本物かどうかは判断出来ない。霊媒である女性の口を借りて船長の霊が話し始める。 「あの船はエンジンの性能に比べて飛行船の重量が重すぎたのだ。また、エンジン自体も重すぎた。浮揚力の計算も間違いだったし、乗組員の数も少な過ぎた。だいたいテスト飛行の期間も短か過ぎたのだ。 オイル・パイプは詰まってしまい、燃料ポンプの調子も悪い。空気ポンプも故障した。冷却装置も働かない。それにあの日は長距離飛行できるような天候ではなかった。 事故調査では、ガス袋の上部に弾力が欠けていたことも指摘されるだろう。」 次々と船長の霊は語っていった。その話の中には、とても霊媒の女性が知らないような専門用語もかなり含まれており、また、船長にしか分からない話も多くあり、専門家によって、この霊は本物の船長の霊であると断定され、この降霊会によって事故の原因調査は飛躍的に進むことになった。 |