Top Page 心霊現象の小部屋 No.39 No.37
谷岡直子さん(28歳)は、10年前のある日、友達と千葉の、とある墓場へ肝試しに出かけた。まだみんな若く、軽い気持ちで行ったのだが、これが後になって直子さんを苦しめる結果となった。 友達10人くらいと出かけたのだが、墓場に入るなり、直子さんの目にはいきなり無数の霊が見えてしまった。上半身だけの霊、下半身だけの霊、首だけの霊もいる。それらの霊が墓場の中にぎっしりと立っているのだ。もちろん直子さんも、こんなものを見たことは初めてで、恐怖で立ちすくんでしまった。だが他の友達たちには何も見えてないらしい。 思わず「いるわっ、たくさん。いっぱい立ってる!」と、直子さんが叫ぶと、「キャーッ」と言って、友達たちは一斉に逃げ出した。もちろん直子さんも。だがこの時は、ただ見えただけでそれ以上のことは何も起こらなかった。 異変が起こり始めたのはそれから数日後のことである。ある夜、直子さんが友達と電話で喋っていると、何か窓から視線を感じる。ふと見ると、見知らぬ男が窓の外に立って部屋を除きこんでいるではないか。 「キャッ」と思わず声をあげた。電話口の友達が「どうしたの?」と聞くと、「今、窓の外から男の人が覗いてるの。」と言うと、友達も、「ね、それってストーカーか痴漢じゃないの?」と、心配そうに答えた。 「ううん・・。そういう感じじゃなくて、よく見たら人間じゃなくて、この間墓地にいた、霊の一人みたいだわ。」 「ほ、本当?大丈夫?」と、友達が聞くと、「う・・、うん、でもこの部屋に入ってくる様子はないみたい。」と、直子さんは気丈に答えた。それから10分くらいは電話で喋っていたのだが、いきなり声が震えだした。 「も・・、もうダメ・・。入ってきちゃったのよ。さっきの男とは違う霊が。今、私の両隣に2人立っているわ・・。ゴメン、電話切るわね。」 そう言ってすぐに電話を切り、直子さんは玄関を飛び出した。恐怖で後ろを振り返る余裕はなかった。走って走って、心臓が飛び出そうになるくらい走った。 この時を境にして、直子さんの部屋には次々と霊が出るようになったのである。まもなくして水子の霊が何体も現れるようになった。窓から飛びこんでくるように次々と現れる。 「何なのよーっ、私はあなたたちとは無関係よっ」直子さんは泣きながら叫ぶがどうにもならない。直子さんは身体を硬直させて泣くことしか出来なかった。 だが人間、慣れとはすごいもので、毎日のように霊を見ていると、そのうちだんだんと何も感じなくなってきた。そのうち霊と会話をするようになり、時にはなぐさめてあげたり、話を聞いてあげたりアドバイスをするほどにまでなってきたのだ。毎日遊びにくる霊もちらほらと出てきた。 ある日、直子さんが家に帰ると、一人の女性が正座をしてしくしくと泣いていた。歳のころは10代のようだ。身体が半透明で、明かにこの世の人間ではない。すでに慣れてしまってる直子さんは、別段怖がることもなく、 「あなたは誰?」と聞いてみた。だが返事はない。泣いているだけだ。 「黙ってたんじゃ分からないでしょう。何か言いたいことがあるなら言ってみなさいよ!」とちょっとイライラして叱るような口調で言ってみた。 だが、霊は泣きながらそのままスーッと消えてしまった。 「もう、勝手なんだから、全く。」 と言って、直子さんは霊のいたところを蹴るマネをした。 次の日もその霊は家に帰ると部屋で待っていた。今度は話が出来た。目黒加奈子という名前も名乗った。話を聞くと、彼女は付き合っていた男がいたが、結局は捨てられ、男は別の女と結婚してしまったというのだ。それを悲観して彼女は電車に飛びこみ自殺をした。 彼女の話を聞き、なぐさめたり時には叱ったりと、直子さんは友達であるかのように接していると、彼女は毎日遊びにくるようになった。いや、彼女だけではない。色々な霊が彼女と話がしたくて集まってくるようになったのだ。 |