バックナンバー室(12) No.34〜No.36

No.34
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<今回のテーマ>
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                                                    料金あれこれ
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「料金」を表す英語としては、charge, fee, rate, fare, toll といった語がありますが、その使い分けはなかなか分かりませんね。
  toll は「道路や橋の通行料」を表すことが分かっていてもその他の違いとなると難しいですね。

まずは charge から、「料金」を語る上でこの語ははずせません、
飲み屋で座っただけで取られる「テーブルチャージ (英語では cover charge)」のcharge です。

「動詞」 charge は、
          物を売った時やサービスを提供してそれに対する対価(お金)を「請求をする」ことです。
          この代金を請求するという行為が charge になります。

そしてこれが「名詞」になりますから、
 

  charge [t∫α:rd3];  サービス行為に対する金額・価格
 

「物を売る」行為もサービスに含まれますからこう定義しておきます。

gas charge ;ガス料金        ガスというサービスに対する料金

electricity charge ;電気料金    電気というサービスに対する料金
[ilektri's∂ti]
telephone charge ;電話料金

先程の「テーブルチャージ;cover charge」もテーブルについてそこで受けるサービスへの料金なのです。(受けないこともあるけれど)

admission(entry) charge ;入場料       博物館や映画館、遊園地など
[∂dmi'∫∂n][e'ntri]                そこに入ることで様々なサービスを受けることが出来ます。

これが「タダ」になると
  free of charge ;無料で

となります。

注意して欲しいのは、例えば「ガス代を払う」というのにこのような言い方をします。

  I paid the gas bill for \3,000.   3,000円のガス代を払った

このように言いますから、gas bill を「ガス代」と覚えてしまう可能性があります。

しかし、bill は「請求書」そしてそこに記載されている「請求金額」のことです。

ですから pay the gas bill は正確に言えば「ガスの請求書の金額を払う」ことであって、このことがつまりガス代を払う、と同じことになるのに注意しなければなります。
gas bill は 一般的な意味での「ガス料金」と言う場合の gas charge とはその意味が異なっていることを理解して下さい。

支払いに行く場合は、家庭に届けられた請求書をもってコンビニや窓口へと向かい、その紙に書かれている金額を支払いますからこのような表現になったのです。
 

話がいくらかそれてしまいましたが元に戻して…もう一度、charge はサービスに対する金額・価格のことであると認識しながら次は、fee を見ていきます。
 

  fee [fi:]; 専門的なサービスなどへの charge
 

doctor's fee;診療費                  このような「知的職業」に対する
lawyer's fee;弁護士費用             報酬として fee はよく使われます。
consultation fee ;コンサルタント料

以上の fee はそのサービス毎に相手に支払われるのが普通です、これが週毎以上になると

wages [weid3s];週毎(日毎などの場合も)にもらう給料(現金で)
salary [sae'lari];月毎にもらう給料(現代では銀行振込)

となっていきます。

registration fee;登録手数料
[red3istre'i∫∂n]
landing fee;空港手数料     飛行機が空港を利用(離着陸するための使用料)
           charge よりもその「特殊性」が表れています。
 

また、「授業料など」や「入場料」にも fee は使われます。

examination fee ;受験料
admission(entry) fee ;入学金、入場料
school fee ;授業料

「入場料」は fee も charge も使われることになります。
まあ、fee の特性を一番出しているのは doctor's fee や lawyer's fee でしょうか。
 

rate は「為替レート;an exchange rate 」などの言葉で耳慣れた語ですね、
rate は「割合」を表す語です、例えば hourly rate なら「時給」を weekly
rate なら「週給」
の意味になります。
 

  rate [reit];  一定料の値段で定められた charge
 

railroad rates ;鉄道運賃
postal rates   ;郵便料金       ※ rates と複数形になります
advertising rates ;広告料     これらは予めあるレートに基づいて
[ae'dv∂rtaising]                         金額が定められていますね
insurance rates ;保険料
[in∫u'∂r∂ns]
 

  fare [fε∂r];   乗り物への charge

「乗り物料金」が fare です、

bus fare ;バス料金
taxi fare ;タクシー料金
railroad(train) fare ;鉄道料金
single fare ;片道料金    double fare ;往復料金
 

toll については既に取り上げましたね、

  toll [toul] ;   道路や橋の通行料としての charge
              またアメリカでは市内通話外の電話料金のことを toll といいます。

高速の「料金所」は tollgate [to'ulgeit](日本の表示はこれです)
tollbooth [to'ulbu:θ]、tollhouse などと言います。
 

前々回の続きにもなりますが、

   rent、rental; 部屋や家、車などを借りた時の charge、賃貸料のこと

これらもサービスに対して支払うものですから大きく言うと charge なんです。
 

このようにいろいろな料金について見てきましたが、
つまり、charge という親分がいて、それに含まれる構成分子が fee, rate, fare, toll そして rent, rental という子分たちであるのです。

子分を見かけたら、その後ろに親分さんもいることを想像してみて下さい。

                                                                                                        (END)
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No.35
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<今回のテーマ>
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                                                   come と go
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come と go、つまり「来る」と「行く」ですからいまさらこの違いなんて…と思うかもしれませんね。
ところが come の用法を見ていくと、おやっ、と思うことに出くわします。
 

1)  (ドアをノックして)
    May I come in?       入ってよろしいですか

2) A:  Hurry up, the last bus is coming!                急いで、終バスが来たよ
        If we miss it we'll have to go home on foot.  もし乗り遅れたら歩いて帰らなきゃ
    B:  All right! I'm coming.        分かってるって。今行くよ

3)  Won't you come with me to the prom.            プロムに僕と一緒に行ってもらえませんか

prom [prαm];アメリカの高校生などがやるダンスパーティー
              (卒業前の一大イベントになっていることも多い)

1)だと日本語でも「入ってよろしいですか」といいますから、一見おかしくはないようにも思えますが、入る側つまり発言する側の人間の動きに注目すると、部屋の中に入るという動作というのは、 come の「来る」動作ではなくて部屋へ go 「行く」動作の気もします。

2) the last bus is coming この coming はバスがまさに「来て」いますし、go home 「帰る」とはその場から家へ「行く」ことです。
ところが、I'm coming. になると「来る」ではなく「行く」の意味で使われています。

3)も同様にダンスパーティーへ「行く」の意味で用いられています。

このように見てみると「 come = 来る 」という簡単な図式ばかりではないことが分かります。
どうして「 come = 行く」  という意味にもなるのでしょうか。

そこでこれを説明するのに、発言をする人の場所に対する「視点」を考えてみましょう。

例えば 1)なら、May I come in? という言葉を喋る時には、相手のいる場所(この場合は、部屋の中)に発言者の視点があるのです、その場所(部屋の中)に行くということは、部屋の中という視点で見れば、部屋の中に「来る」ということだと考えることが出来ます。

2)についても B が、I'm coming. という場合には、視点はこの時点で A がいる場所であるとか、バス停に移っています、ですからそこからの視点で見るのなら、まさに I'm coming.なのです。
 

発言した本人のいる場所を中心にそこを「起点」として相手や話の内容に出てくる場所に向かっていく動き考えるか、相手や話の内容に出てくる場所を中心に考えて、向かっていく場所(つまり終点)への動きを考えるかの違いが go とcome という語で表されるのです。

  (自分)                                             (相手)
    ♀        (視点はどっち)                       ♀
    Λ                                                   ∧
    go                                                  come
    ●――――――――――――――――●
   起点                                               終点
1)(ドアの外)                                     (部屋の中)
2)(自分がいる所)                           (相手、バス停)
3)(自分がいる所)                          (パーティー会場)
 

しかし、何故このように視点が変わるのでしょうか。
英語には敬語がない、と言われることがありますが、May I come in? などを見ると、相手のいる場所(部屋の中)へこちらがお伺います、ということで相手の側の視点から見るということ、相手の側から自分の動きを表現することで、相手へのへりくだった表現となるのです。

2) の場合はその程度はかなり落ちるでしょうが、それでも無意識のうちに、相手への配慮が coming に表れるのです。

3) の場合で、come を使っているのは、発言者の視点がもう既に prom へと移動しているので、ここは彼の中ではパーティーに出席することがもう既成的なものとして考えられていたりする場合であったり、またパーティーの主催者側の人間であるなら当然「来てもらう」立場ですから、そこから見ると comeとなる訳です。
いずれにせよ、視点が(つまり心が)パーティー会場にあるということです。
 

Come on! が「来なさい」の意味だけではなく、

  Come on! Let's play soccer with us. さあ、一緒にサッカーしようぜ

  Come on! Tell me.  おい、教えろよ

  Come on! Fight! Fight!   ほら、いけ、いけ

という「激励、督促、懇願、説得」などの意味を表す掛け声として使われたりするのは come というこちら側の視点の言葉を使って、視点だけでなく相手の心そのものををこちら側や目的の方向へ向けるためです。
 

話は少しそれますが、

  Won't you come with us tomorrow?    明日いっしょに出かけない

would や will などで尋ねると、「勧誘」や「同意」を求めているのですが、

  Are you coming with tomorrow?       明日はいっしょに来ますか

これだと単に相手の予定を尋ねているだけ、事実の確認をする表現となります。
 

また、直接話法から間接話法への書き換えで、

  She said to me, "Will you come to my home tomorrow."

これを間接話法にするのなら、

  She asked me to come to her home the next day.

となるのが普通です、頼んだ・誘ったのは相手なのですから、相手の視点でものを考えるのです。彼女から見れば誘われた「私」は come ですから。

これを視点を自分の側にして、
come を go にし  She asked me to go to her home the next day.
としても間違いではありませんが、
これだけ見ると、自分が彼女の家に行く動作を表すだけなので、彼女がその家にいるのかどうかが分からなくなってしまいます(というより、いないように感じられてしまいます)

もちろん英米人はこれらの選択を無意識に行なっているのですが、我々はまずはこのことを理解しておくべきでしょうね。
 

最後に、
come と go はそれぞれ「?(の状態に)になる」の意味がありますが、

come は come true ;実現する
        come into flower ;開花する
        come to alive ;生き生きしてくる

などのプラスのイメージの語と結びつきやすいのに対し、go は、

  go mad ;発狂する
  go dead ;(エンジンが)止まる
  go bad ;悪くなる、腐る
  go into hysterics ;ヒステリーになる
        [histe'riks]

などのマイナスのイメージの言葉とよくいっしょになります。

これは go のもつ「起点」からの移動が、本来の状態を外れるという変化をそして、come の方は「終点」への移動、目的・目標への到達という動きを示すからであると考えることもできます。
 

                                                                                                        (END)
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No.36
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<今回のテーマ>
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                                                     パパ、ママ
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今回は、家族の間での呼びかけの言葉を中心に、「家族」に関連する名詞を見ていきます。

お父さん、お母さんのことを日本では「パパ」「ママ」とも言いますが、(みなさんの家はどうですか?)、日本ではすっかり定着した「パパ」「ママ」ですがこれは英語では文字どおり、

  papa [pα':p∂]             パパ
  momma [mαm∂]  mama (mamma) [mα':m∂]     ママ

これを更に短くして、pa [pα:]とか ma [mα:] と言いいます。
いや、正確に言うと、このようにも「言っていた」のですが、最近は papa, mamma はあまり使われないのが現状です。

「お父さん」(father)のことを家庭内で呼ぶのなら、

  dad [daed]
  daddy [dae'di]

daddy の方が子供が使う表現になります。言い方を変えると、daddy は幼児語と言えます、しかしある程度の年齢になっても daddy は使いますから「幼児」という言葉をそれほど気にする必要もないと思います。

「お母さん」なら

  mom [mαm]
  mommy [mαmi]        これらはアメリカ式の綴りで、イギリスだと

  mum [m∧m]
  mummy [m∧mi]        と mom の o が u に変わります。
              ※ mummy には「ミイラ」(漢字だと「木乃伊」と書きます)
                      の意味もあります。(昔やった、ドラクエにマミーというモンスターがいましたね)

これも、mommy(mummy)の方が幼児語になります。
最初の papa や momma なども幼児語ですから、一時期前までは「パパ」「ママ」は子供が使う言葉だから、日本でこれらの言葉を使うのは宜しくない、とい主張される方もいました。(今でもいるのかな…)
まあ、日本語でいうパパ、ママは単なる子供言葉以上のものの感覚で使われていると思うので、それはそれでいいとは思うのですが…
それに言葉というのは面白いもので、日本では「パパ」は若い女性からみた「パトロン」の意味で今は使われるようになっていますね。これなんかは、日本語独特の使われ方です。

アメリカンファミリーを真に目指すのなら、現代では「パパ」「ママ」ではなく、dad や daddy (おっ、このタイトルの本もありましたね)、mom や mommy を使っていくのがいいのかも知れません(?)
 

「夫婦」の間では、honey [h∧'ni]、dear [di∂r] や darling [dα':rling] などをよく使います。
(日本の様に、互いに「お父さん」「お母さん」とは呼ばないのですね)
また、honey と dear は「親が子」を呼ぶ時にも使えます。
 

「おじいさん grandfather」は

  granddad [grae'ndaed](イギリスなら grandad)
  granddady (grandady) [grae'ndaedi]
  grandpa [grae'npα]

「おばあさん grandmother」なら

  grandma [grae'nmα]         ※ grandpa, grandma になると d の音は
  granny (granie)[grae'ni:]                      発音しません

(ちなみに、曾おじいさんは great-grandfather、さらに上の曾曾おじいさんなら、great-great-grandfather となります。おばあさんなら、father をmother へ)

ここまで見てみると、
英語では最後に y の文字、つまり[i]の音をつけると、幼児語というか親しみやすい表現になるようです。他の例を挙げると、幼児語と言われる、

doggy [d⊃'gi];犬   kitty [ki'ti];猫   piggy [pi'gi];豚
aunty(auntie) [α':nti];おばちゃん

これらの語は最後がやはり[i]の音で終わっていますし、
kitty と言えば Kitty 「キティちゃん」という猫のキャラクターがありますが、このほかのキャラクターでは、Mickey Mouse「ミッキー・マウス」のMickey や Snoopy 「スヌーピー」も最後が[i]で終わっています。

人の名前を呼ぶ際も、James [d3eimz] が Jim → Jimmy [d3i'mi]
Martin [mα':rt∂n] →  Marty [mα':rti]
Thomas [tα'm∂s] → Tommy [tα'mi]
William [wi'lj∂m] が Bill → Billy [bili]
などと親しく呼ぶ際は、最後が[i]の音になる特徴があります。
(そう言えば、サッチーも…)

家族以外の人を言う場合の
「おじさん」なら

  uncle [∧'nkl]   血縁関係の「おじ」以外にも単に「おじさん」の意味も

「おばさん」なら

  aunt [aent]   これも「おば」だけでなく、単に「おばさん」の意味で

※ちなみに「伯父」と「叔父」の違いが分かりますか?英語では同じですが、日本語では分けられています。父母の兄なら「伯父」、父母の弟なら「叔父」になります。同様に、父母の姉なら「伯母」、父母の妹なら「叔母」です。    (うーん、日本語も難しい)

uncle が出ましたから、ついでに…
  Uncle Sam と言えば U.S. つまり「アメリカ(政府、人)」のことです。
  Uncle Tom になると「白人社会に迎合して(調子をあわせて)いる黒人」の意味になります。

最後に血縁関係を表す言葉の紹介をしておきましょう。

「いとこ(従兄弟・従姉妹)」は  cousin [k∧'z∂n]

「はとこ(再従兄弟・再従姉妹)」は second cousin(親のいとこの子供)
 

自分の兄弟・姉妹の子供である「甥(おい)」は nephew [ne'fju:]
                                          「姪(めい)」は niece [ni:s]

「孫 (grandchild)」で「男」の子なら  grandson
                          「女」の子なら  granddaughter

義理の父母、兄弟姉妹にはすべて最後に -in-low を付けて

  father-in-low ;義父      mother-in-low ;義母
  brother-in-low ;義兄弟   sister-in-low ;義姉妹

両親は parents [pε'∂rεnts]ですから、

  grandparents ;祖父母     great-grandparents ;曾祖父母
  parents-in-low ;義父母

ちなみに「継母(ままはは)」は stepmother です。
「継父(ままちち)」なら stepfather です。(ままちちはあまり使ったことはないですよね)

                                                                                                        (END)
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