バックナンバー室(6) No.16〜No.18

No.16

ジョーダン、遂に引退ですね、人間でありながら「神様」と称えら
れたプレーの数々、20世紀のスーパースターの一人でしょう。

<今回のテーマ>
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                                                       引退・退職
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スポーツ選手などは「引退」という、2文字がいつかは訪れるものですが、これを英語で言うと、

  retire [rita'i∂r]    引退、退職する

リタイヤ、と言うと日本語では、レースなどを途中で止めたりすること、の意味の方が浸透しています。
(もちろんこの意味でも使われています、人によっては辞書に載ってない方もあると思いますが)

retire には、「隠居する」の意味もあるように、
ここでいう「退職」とは、ある年齢がきての退職、つまり定年退職の意味合いが強い、ということに注意しなければなりません。
(定年は the retirement age などと言います)

  He retired at 65.

だと、定年が65であろうと考えられる訳です。
(もちろん、自営業などだと、自分で引退の時期は決めるんでしょうけど)

ですから、定年に達していない段階で、会社を辞める時には、この表現ではなく、

  leave、quit [kwit] 、resign [reza'in]などを使います。
 

また、学校を中退した時などには

  drop out  なんて表現もできます。

この場合だと、自分で辞めたというよりも、目的に到達できず「脱落」したイメージが伴います。
(そういう意味での、退社の場合も使えますね)

このように同じ、会社を辞める、退社、退職にしてもいろいろあるんです。

では、今度は会社の立場から辞めさせる、つまり、「くびにする・解雇する」はどう言うのかといえば、

  dismiss [dismi's]

  He was dismissed from the bank.   銀行をくびになった

dismiss は、「解散させる」の意味もあり、

  The class is dismissed. これで終わり  (授業の終わりの言葉で使います)
 

  fire      火を付ける、発射する、のほかに、「解雇する」の
                                        意味もあります。米語、英では sack [saek] を使います

  You are fired!   お前はクビだ!

また、ax(e) [aeks];斧  を使って、

  He got the ax.  彼はくびになった

斧で首を切り落とす・・・まさに「首切り」ですね
(ハルクホーガンの必殺技が、アックスボンバー(斧爆弾)でした)
 

あと、日本ではあまりないですが、アメリカでは

  lay off     レイオフ(一時解雇)がよくあります。

off の状態に lay (置いておく)んですね、日本語で休みのことをオフ、とも言ったりします。

再雇用が条件なんですが、数週間とか、何ヶ月も仕事がなくなってしまうから、大変ですよね。

確かに、今は厳しい時期でしょうが、みなさんも unfair dismissal「不当解雇」にはお気を付け下さい。
それでは。                                                                                           (END)
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No.17

<今回のテーマ>
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                                                    a と the の違い(1)
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中学1年の1学期に習う、この二つですが、知ってるようでホントに知らないのかもしれませんね。

だいたい、冠詞なんていうのは日本語にはない用法ですから、なかなか馴染めないのもあたりまえなんですが・・・

学校で教える、a と the の用法で一番よくないのが、「数えられる名詞が初めて話題にのぼった時は、 a 、そして2回目以降が the になる」、これです。このように記憶されてる方も多いでしょう。

確かに、このパターンが実際多いのですが、これで覚えてしまうとa と the の本質的な違いが、いつまで経ってもわからない可能性があります。

  a は「不定冠詞」、the は「定冠詞」といいます、

まずはこのことを、頭に入れておかなければなりません。

不定冠詞とは、文字どおり、定まっていない冠詞、一方、定冠詞とは、定まっている冠詞なのですから、

  a  不定冠詞   定まっていない、つまり「特定がされていない」
                                                                             「どれでもいいからどれかひとつ」

  the  定冠詞   定まっている、つまり「特定されている」

この「特定」されているかどうか、という概念を常に持ち続けてください。

  the が「その」と訳されるのは、「特定」がなされている、つまり、話し手と聞き手が何のことか分かっているから、「その」と何を表しているのかはっきりとするんです。

  This is a pencil. The pen is mine.

確かに、最初は a で、次が the なんですが、最初に a pencil と言ったことにより、それで「特定」がなされて、次は the 「その」ペン、とはっきりしたものになっていることに、注意しなければなりません。

このように、多くが2回目以降に the となるんですが、「特定」を表すものが the ですから、
 

始めから「特定」がなされている、つまり何のことが分かっている時は、a ではなく、最初から the でいいんです。

例えば、家には、ふつう玄関はひとつですね(余程大きな家ではない限り)、ですから、

  Come in by the front door.    玄関から入って

  by  は「経由」を表しています。

こんな時は、玄関はどの玄関なのかは当然聞き手も分かっていますから、初めて話題にのぼる時も a ではなく、the なんです。

  車は今や、一家に2台以上あっても不思議ではない時代でしたが昔の日本なら、当然 the だったんです(テレビや電話もそうでしたね)

  The sky was overcast yesterday. 昨日の空はどんよりしていた

overcast [o'ub∂rkaest] どんよりした

「空」なんかはひとつだけと考えられますから、これも「特定」される訳です。同じように、海、月、宇宙なども始めから the です。

何でもかんでも、2度目から the なんだと覚えてしまってはダメなんです。まずは「特定」されているのか、いないのか、それを意識しなければなりません。

  Look! There is a man at the corner.

  Look! There is the man at the corner.

ストーカーに付きまとわれる女性に友人の女の子が話しかける場面だとしましょう。

上の文は、a  ですから「特定」がされていません、だから、

「(誰だかわからないけど)ある男がかどにいるわ」、となります。友達はこの男を知らないんです。

the corner は、二人の間では既にどのかどなのか「特定」されているでしょうから、the なんです。

  Look! There is the man at the corner.

一方、下の文は、the と特定されていますから、以前にこの男について既に二人の間で話題があったのだと、これだけの文で推測できます。

「あの(その)男がかどのところにいるわ」となるんです。
 

次回も、a と the についてもう少しやっていこうと思います。それでは。          (END)
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No.18

<今回のテーマ>
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                                                  a と the の違い(2)
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前回、a と the の違いを考えるのに、「特定」という概念で見ていきました。今回もそれをもとに、もう少し、見ていきましょう。

これも中学の一年で

「私はギターを持っている」なら               I have a guitar.
「私はギターを弾く」は                          I play the guitar.

「私はバイオリンを持っている」なら          I have a violin.
「私はバイオリンを弾く」は                     I play the violin.

こう習ったはずです、

初めて話題にのぼるのなら、the ではなく、
I play a guitar. や  I play a violin.でも、いいはず、なのにthe を使うのはどうしてなのか・・・

これも「特定」という概念で考えてみましょう。

みなさんが、ギターやバイオリンなどが演奏できる人だとした場合、
そのギターやバイオリンなどはどんなものですか。自分で演奏する時には、いつも使っている愛用のギターやバイオリンを使うものではないでしょうか。

使う、演奏する楽器は決まっています、つまりそれは「特定」されているんですね、

これが、I play a guitar. や  I play a violin.だと、

a  は不定冠詞、「特定がされていない」ということは、「どれでもいいからどれかひとつ」ということになってしまいます。

こんなプレーヤーはほとんどいないでしょう。学校、吹奏楽部等でも、楽器を使う時は、自分のお気に入りのものができて、使うものは決まってくるはずです、演奏する側からいえば、ギターやバイオリンは、それだけに限定されているとも言えるます。だから「特定」された the になるんです。
 

また、a についても、私たちは「ひとつの」という言葉に縛られすぎているのかも知れません。

もちろん、「ひとつの」の意味なんですが、

a  は不定冠詞、「どれでもいいからどれかひとつ」つまり、「いくつかあるなかの、ひとつ」という意味もあることに注意した方がいいでしょう。

親戚や、知り合いの家にいって、お菓子、そうですねケーキ(お菓子)を出された時に、おばさんが「ケーキ(お菓子)をどうぞ」と持ってきました。
 

  Please help yourself to the cake.           cake ;お菓子

help は(食べ物などを)「給仕する、取ってあげる」

部屋に入るなり、おばさんがこう言ったら、ケーキ(お菓子)が「ひとつ」しかないのがわかります。
もし、周りにほかにも人がいたなら、自分だけケーキを食べるのは気が引けることでしょう。

  Please help yourself to a cake.

こう言われれば、ケーキ(お菓子)がほかにもいくつかあることが推測できます。「いくつかあるなかの、ひとつ」のケーキ(お菓子)なのだろうと、思えるんです。こうなると、食べやすいですね。

a  と言っているからといって、ひとつとは限らないことがあります、

  Bring me a pen.      ペンを持って来て

a  ですから、なんでもいいから、ペンを持って来て、です。ほかにもいくつかペンはあるんですが、その中のどれかでいいんです。

もし、ペンがそこにひとつだったら、どのペンなのかすぐ分かるでしょうし、自分がいつも使うお気に入りのペンが、互いに分かっていれば、

  Bring me the pen.

こう言えばいいんです。                                                                                   (END)
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