焼物を入れる二つ目の部屋です。うちの窯では一番大きく焼きも安定している所です。写真の数も多いのでページも重いですが、内容も一番充実していると思います。
図面どうりに耐火モルタルを塗りながらレンガを積んでいきます。目地がそろわないようレンガを互い違いに積んでいるのが写真で分かると思います。それから、この窯は焼物を入れる部屋の内側だけはトンバリ、クレと呼ばれる粘土を木枠で固めてだけのやわらかい物(レンガとしては)を使っています。外側は中古の耐火煉瓦です。トンバリを使ったのは萩焼はやわらかい焼物なのでレンガの反射熱等を考えてやわらかいレンガが使った方が良いのではないかと考えたからです。
さま穴を作っているところです。この穴が部屋と部屋をつないでいます。一つの部屋を焼いているとき、その余熱(炎)がこの穴を抜けて、次の部屋を暖めます。この窯で一軒目を焼き上げたとき二軒目は大体800度くらいになっています。よく見てもらうと分かりますが、穴の大きさが中央は狭く、端に行くほど広くなっています。これは炎がは中央に集まりやすいという性質(ロウソクの炎の先が細くなっているのと同じです)を考え、なるべく炎が両端に広がるようにするためです。
写真をよく見てもらうと側壁の下の方に穴が開いているのが分かると思います。これは窯を焼いているときに、ここから鉄の棒を入れて、中にある見込み(ぐい飲みに大きな穴を開けたもの)を引っぱり出すためです。見込みにかけた釉薬が溶けたかどうかで窯が焼けたかどうかを確認します。これは窯の中でも一番温度の低い場所、後ろの両端に作ります。一番低い所が焼けたら他は焼けているという理屈ですが、見込みが溶けないからとガンガン焼くと前が焼けすぎているということもあるので、前は薪の投入口から中をのぞいて釉薬の熔け具合を確認しながらバランス良く焚くことが大切です。
出入り口を作っているところです。ここは一軒目のページの方が詳しく説明していますので、そちらをご覧下さい。
基本的にどの部屋のアーチも同じですが、まず作りたいアーチの高さに合わせて竹を切ります。そして、それをずれないよう横木などしながら、しっかりと針金などで固定していきます。竹がグラグラしないようしっかり固定できたら、その上に割った竹でアーチをかけていきます。アーチは支柱の方の竹にノコギリで切り目を入れ、針金をかませてしっかりと固定します。最後にアーチの上にレンガがのせられるよう割った竹を狭い間隔でとめていきます。このことによって一層アーチが固定されます。
レンガを積む前に一度シュミレーションしてレンガの角度や幅、そして最後に出来る溝などを確認します。このとき実際に積むレンガのアーチのラインを整えるため、割った竹などをレンガとアーチの間に挟んでレンガのアーチを調整します。
レンガは両端から一気に積んで行って下さい。最後に三角の溝が出来ます。そこに割れた棚板(カーボランダム)などを木づちで打ち込んでレンガ(アーチ)をしっかりと締めます。
この作業は必ず一日でやって下さい。一日おくと作りかけのアーチが少し落ちてきたり、最後にアーチをしめるときモルタルが固まってしめくくなるからです。
アーチの側面を積んでいるところです。私はあとからフタをするようにして作ってしまいましたが、これは失敗でした。前後のアーチを作るときに同じ段ごと一緒に作っていくべきでした。焼いていくうちにこのつなぎ目が大きく開いてしまいました。
レンガを積み終わったところの遠景です。
側壁の厚さは30cm以上必要ですが、アーチは15cm以上必要です。あまり天井が薄いと放熱してしまいます。私はアーチにはレンガを1列並べるだけで、あとその上に粘土質の赤土に耐火モルタルを混ぜたものを団子にして重ねていきました。乾く前に木づちで少しずつたたいてのせた土を締めました。
出来上がりです。