大口といって窯の一番前の袋(部屋)です。萩焼では(そうではない窯元や産地もありますが)普通ここには焼物は入れません。ここは焼物を焼くと言うよりも窯全体を暖めるために薪を燃やすところです。焼物が入ってないからといっていい加減な焚き方をしていいわけではありません。大口をゆっくりですが、じっくりしっかりと焼くことによってあとの窯の上がりがぜんぜん違ってきます。よく登り窯の極論で「大口がでかくて煙突が高けりゃどんな窯でも温度が上がる」と言われますが、本当に大きい方が調子は良いようです。
図面に合わせてレンガを積んでいきますが、レンガを積むとき下の段とレンガがそろわないように交互に積んでいきます。そうすることによってレンガ同士をかみ合わせしっかり積むことが出来るからです。レンガをそろえて積むと目地がそろい、窯を焚くとそこが開いてしまいます。
どんどんレンガを積んでいきます。奥に炎が抜けるさま穴を作っています。さま穴は、穴の幅が中央は狭く、両端は広くします。それは炎は中心に集まるため、それを押さえ両端に炎が行くようにするためです。
焚き口のアーチも出来、その上にもレンガを積んでいきます。その時側壁のレンガと高さを合わせて全体がつながるようにします。
大口を作りながら、一軒目のレンガも積んでいるのが分かります。これはレンガを交互につなげて積んでいるからです。
竹でアーチを作ります。(このことは二軒目の項目で詳しく説明します)
アーチの完成、この上にレンガを積むと言うより並べていきます。(このことも二軒目で)
一応、完成です。しかし、結果からいうと大口は大失敗でした。まず天井のアーチを抑えようと思い無理してレンガを積んだため、何度か焚くうちにレンガが落ちてきました。現在は側壁から自然な形でアーチが出来るようもっと高くレンガを積みました。それから、側壁自体の厚さも倍くらいにしました。