イギリスに住むスティーブンという男性は、ある週末、ちょっと遠出をしてバードウォッチングを楽しんでいた。彼はその日の夜は近くのホテルに泊まって、あすの朝に自宅に帰る予定だった。

だがホテルに到着したものの、彼は時間を持て余し、暇つぶしのつもりもあって、ちょっと友達に電話をかけてみた。

何回かコールすると友達は出てくれた。だが、彼が喋った瞬間、電話に出た友達はびっくりして叫んだ。
「なんで君から電話がかかってくるんだ?! 君は死んだんじゃなかったのか!!」と。

もちろん、スティーブンには、その友達が言ってる意味が分からない。

話を聞くと昨日、スティーブンの死体、つまり自分の死体がスコットランドのケアンゴーム山で発見されたというのだ。

山の中で発見された、その登山者の死体は、顔も体型もスティーブンにそっくりだったため、連絡を受けて駆けつけた両親もその死体が自分の息子であることを認めた。いや、両親だけでなく、一緒に駆けつけた親戚たちも、その死体をスティーブンだと断定したというのだ。

しかし親戚の人たちならともかく、仮にも実の両親が我が子の姿を見間違うだろうか。いや、見間違えても不思議がないくらいに、その死体とスティーブンはそっくりだったのである。

顔と体型は見分けがつかないくらいにそっくりで、帽子、セーターなどの衣服も全く同じものを身につけていた。そして下着までもまったく同じであり、腕時計まで同じメーカーの同じ物をつけていたのだ。

スティーブンが自宅に駆けつけたのは、ちょうど葬式が始まる前だった。両親は、てっきり死んだと思っていた我が子に無事再会することが出来た。

この世に自分そっくりな人間が3人はいると言われているが、ここまでそっくりな人間は極めて珍しいパターンである。だがこの謎の死体の身元は結局判明しなかったということである。


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