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No.89 水晶玉で行方不明者を透視するジョゼフィン・ピットマン夫人



1958年、アメリカのアトランタで、ジェーン・コーツという夫人が行方不明になった。夫の話によると、二千ドルを引き出して、そのまま家出していったという。だが、ジェーンの妹であるストゥアーズは家出という話がどうしても信じられなかった。

何しろその前日には電話で喋って、ジェーンは、自分の子供たちに送ろうと思っているクリスマスプレゼントのことを嬉しそうにして話していたからだ。それが翌日に金を持って家出なんて考えられない。

だが夫は特に焦ったような様子もなく、夫がこういう態度である以上、警察も熱心に捜してはくれない。ストゥアーズは、姉の写真を持って新聞社へいってみたり、付近の人に聞いてまわったりして独自で探し始めた。だが所詮は素人の調査か・・何ら手がかりは得られなかった。


ストゥアーズが悩んでいたところへ伯母がやってきた。伯母が言うには、超能力者であるジョゼフィン・ピットマン夫人に頼んでみてたどうだろうか、というのだ。ジョゼフィン・ピットマン夫人は、なくなった物や行方不明者を透視によって探すことが出来るという、当時では有名な超能力者だった。

さっそくストゥアーズはピットマン夫人を尋ねてみた。家の中から出てきたのは髪をぼさぼさにした青白い顔の老夫人・・それがピットマン夫人だった。ストゥアーズは、すぐに事の一部始終をピットマン夫人に話してみた。

一通り話を聞き終えるとピットマン夫人はじっと水晶玉を覗き込んだ。彼女の透視は水晶玉を使うらしい。この中に求めるものが見えるというのだ。しばらくしてピットマン夫人は口を開いた。


お気の毒ですが、コーツ夫人はすでに亡くなっています。死因はヒモによる絞殺・・誰かに殺されたようです。彼女の自宅からそう遠くない、浅い場所に埋められています。それは道路の脇で・・近くでは橋の建設工事を行っているのが見えます。」

いきなり口をついて出た残酷な言葉に、ストゥアーズは驚きと落胆が同時に襲ってきた。だがピットマン夫人はそのまま話を続ける。
「ピンと耳が立った、鼻のとがった動物が彼女の居場所を教えてくれるでしょう。それから他に見えるものは・・・近くに水の溜まっている場所が見えます。ですが、それは湖や川ではありません。別の何かです。

それと木立が・・・木の繁った光景が見えます。それからコーツ夫人は、パジャマ姿のままベッドカバーで包まれています。」

次々と出る具体的な言葉。ストゥアーズはこれら全てを書き留め、この言葉を元にまた調査をやり直すことにした。もちろん警察にもこのことを伝えた。だが警察の反応は冷たい。


「占い師のいうことをマに受けて捜査を混乱させないように。」というのだ。そしてピットマン夫人にも「そのような軽率な言葉は慎んでもらいたい。」と注意を促した。

だが、ピットマン夫人は警察のこういう注意にも何ら臆することなく「私は事実を言ったまでです。」と反論した。
「ではあなたのいう通りだとしたら、死体はいつ見つかるのかね?」と警察が聞くと「3月なかばごろでしょう。」と、これまたはっきりと返事を返した。


そして年が明け、1959年3月17日。デ・カルブ郡の北の方で高速道路の工事が再開された。冬の間は工事が中断されていたのである。作業員の一人が休憩していると、2匹のネズミが橋の近くに現れた。作業員は何気なくネズミを見ていたが、ネズミはしばらくちょろちょろして、すぐに逃げていった。

だが、ネズミのいたところに目をやると、何か地面から突き出ている。近寄ってみると、それは人間の手だった。びっくりして作業員はすぐに周りの人に知らせ、掘り起こしてみた。出てきたのは、やはり死体だった。

顔は腐乱して見分けがつかなかったが、死体はパジャマ姿で、チェックの柄のベッドカバーで覆われていた。青いガウンの切れ端も発見された。そして解剖の結果、ヒモで絞殺された女性であることが分かった。また、死体の発見された場所からは、結婚指輪も出てきた。


その他、浅い水たまり、木立・・全てピットマン夫人の言った通りだった。この死体は、行方不明となっていたジェーン・コーツ夫人のものである可能性が極めて高い。だが夫は全面否定した。断じて違うというのだ。

これに対してコーツ夫人の妹であるストゥアーズは、発見された結婚指輪はコーツ夫人のものであると断言した。また、一緒に出てきた青いガウンは、ストゥアーズがコーツ夫人にプレゼントしたものだった。

全面否定をしていた夫も、これに加えて自分に愛人がいることも発覚し、この時点で全てを自供し、終身刑を受けることとなった。



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