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No.96 洞窟で生涯のほとんどを過ごしたシベリアの一家



シベリアのチュメニに住むジナイダ、リジア、アナスターシャ、ニーナの4姉妹は、地下の洞窟の中に住んでいた。洞窟に住んでいるというと変に聞こえるかも知れないが、正確には「洞窟を利用して作られた、(旧)ソ連軍の地下倉庫」である。

洞窟といっても、日本で想像するような、ほら穴のようなものとはスケールが違い、何kmという単位で地下を走っている巨大なものだ。この巨大な洞窟を利用して旧ソ連軍は、第二次世界対戦の時に、ここに軍部の地下倉庫を作った。

この倉庫の中には肉類、魚、菓子、油、野菜、缶詰などの食料品の他、寝具や服、灯油など、およそ生活するに必要であろうものが膨大な数、保存されてあった。

4姉妹の両親は、ここで倉庫の管理人として働いていたのだ。だから一家6人は、ほとんどこの洞窟の中で生活していた。
そしてある日のこと。その日も両親は倉庫の中で普通に働いており、4姉妹も両親のすぐ近くで遊んでいた。


そしてその日が運命の日となった。何が原因なのか分からないが突然、大音響とともに洞窟の入り口が崩れ、地上につながる、たった1箇所の出入り口が完全に土砂に埋まってしまったのだ。

一家6人は完全にこの洞窟の中に閉じ込められてしまった。だがここは軍の倉庫。たまにではあるが軍から使者がやってきたり、物の出し入れも何ヶ月に一回くらいはある。

絶対誰かが気づいてくれるはずだと信じて、一家は今まで通り倉庫の中で暮らすことにした。食べ物も着るものもあるし、水も流れでている。その上、どこかからか空気も入ってくるようだ。

しかしこの倉庫は軍の秘密倉庫であり、その存在を知っている者は軍の中でもごく一部の上層部の人間だけであった。その上、一家がここで生活していたことを知っている人も少なく、行方不明になったからといって騒ぎにはならなかったのだ。

やがて戦争も終わり、倉庫のことを知っている人間もそれぞれ自分の故郷に帰ったりして、この地下倉庫のことは完全に忘れ去られてしまった。


一家も、最初は、誰かがすぐに気づいてくれるだろうと、かたく信じていたが2週間・3週間と経つうちにだんだんと不安になってきた。そして時は無常にも流れ、地下の中で1年が過ぎた。そして更に時は流れる。5年経った。そして10年、20年・・。

そのうちとうとう、父親が亡くなった。それからまもなくして母親も後を追うように死んでしまった。残された4姉妹も、今が一体いつなのか、そして自分は何歳なのか、全く分からなくなってしまった。

ただ、お腹が減れば貯蔵品を食べ、眠くなったら寝るという、動物のような生活を延々と続けていた。

あれからどれくらい時が経ったのだろう。ある日、突然地震が起こった。そしてなんと、その衝撃で入り口が再びぽっかりと穴を開けたのだ。この穴は、外側からも地元の人々が発見してくれた。

中は何か、洞窟のようになっているらしいということで、地元の人たちの間で調査隊が組織され、この穴の奥を調べることになった。

そしてついにこの時、4姉妹は発見されたのだ。洞窟に閉じ込められてから、実に40年の歳月が流れていた。

両親の方は亡くなってしまったが、4姉妹の方は、長い間暗闇の中で生活していたとはいえ、視力に異常はなく、身体もしっかりとしており、40年ぶりに出た地上での生活にもほどなくして適応出来たようだ。


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