雪男・猿人・ビッグフットなど、呼び名は違えども、全身毛むくじゃらで人間とも動物とも区別のつかない生物は、世界中のあちこちの山で目撃されている。

1924年、木こりを職業としていたアルバート・オストマンは、カナダのブリティッシュ・コロンビア州のトーバ入り江に金鉱を探しにでかけた。木こりの収入だけでは生きていけないので、でかい金鉱でも探し当てて、一攫千金を夢見て出てきたのだ。

入り江の近くまでは地元のインディアンに道案内を頼んだ。だがインディアンたちは少々雲った顔をして、
「この付近の山には"サスクワッチ"が出る。あんまり近づかない方がいいだろう。」と、オストマンに忠告した。

サスクワッチとは、この山の辺りに住む巨大生物だという。体型は人間に似ているが、明かに人間ではないらしい。一応忠告はされたがオストマンは、この話をまともには聞かなかった。どうせインディアンたちの迷信だろうと思ったのだ。

そして金鉱探しを始めてから1週間が経った。その頃オストマンはバンクーバー島の対岸にテントを張って生活していた。

ある朝起きてみると、その日に限って、何物かによって荷物が荒らされていた。その荒らされ方も、何かの動物が食いちぎったような荒らされ方ではない。まるで人間が荷物を物色したかのような荒らされ方だ。

この山には自分以外、誰もいないはずだと思っていたオストマンは気味が悪くなってきた。自分が襲われなかっただけまだ良かったほうかも知れない。そしてその日の晩は念のためにライフルを持って寝袋に入ることにした。

恐ろしさもあってなかなか寝つけなかったが、それでも2~3時間くらいするとやっとウトウトとしてきた。と、その時、突然自分の身体がふわっと持ち上げられるのを感じて、びっくりして眼が覚めた。

夢ではない。寝袋ごと何物かが自分の身体を持ち上げたのだ。恐怖で眼が開けられない。オストマンは寝袋の中でライフルをぎゅっと握りしめ、身体も緊張のあまり硬直した。

どうやら自分はどこかへ運ばれているらしい。誰に捕まったのか全然分からない。そしてそれから一時間くらいも経っただろうか。やっと彼は地面へ降ろされた。

恐る恐る寝袋から這いだしてみると、そこには4人の巨大生物が立っていた。全員、身体が長い毛に覆われており、顔からして明かに人間ではない。サルかゴリラに近い感じだ。4人はじっと彼を見下ろしている。

一番大きいのは父親だろう。身長は2m50cmくらいある。そしてその横には妻らしき生物が立っている。こっちの方も2m15cmくらいはあるようだ。両方とも体重は200kg以上あるだろう。その横に立っている少し小柄な2人は子供らしい。

彼らは別にオストマンに危害を加える意思はないようだ。多少は安心したが、オストマンはこれ以降、この巨大生物と一緒に生活せざるを得ない状況になってしまった。1週間くらいは彼らと共に生活したが、いつまでも一緒にいるわけにはいかない。

ある日オストマンは、父親がいない時を見計らって、ライフルを撃って威嚇し、そのスキに逃げることに成功した。恐怖の1週間はやっと終わりを告げた。果たしてあれらの生物が一体何だったのか、いまだにその正体は謎のままだ。


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