Top Page  怪事件・怪人物の表紙へ  No.136  No.134


No.135 不思議な夢 〜 「追いかけて来る男」・「助けを求める声」



▼追いかけて来る男

アメリカ・ニューヨークに住むジェニファー・ウィンストンは23歳の女性である。彼女はオクラホマ州の出身であるが、ニユーヨークの大学を卒業した後、そのままニューヨークの証券会社に就職したので、今では実家と離れて一人暮らしをしている。

父親は子供たちがそれぞれ学校を卒業した後に亡くなり、ジェニファー以外の兄弟たちも家を出ているので、実家では母親が一人暮らしをしている。そのためジェニファーは、いつも母親のことが頭の片隅で気になっていた。


1995年の9月のある晩、ジェニファーは恐ろしい夢を見た。

夢の中で彼女は銃を持った男に追われていた。男の姿ははっきりとは分からないが、男が自分を殺そうとしているのだけは分かる。必死に走っていると、小さな小屋があった。横には一軒屋が建っている。この小屋は、家の倉庫らしい。

小屋の戸が少し開いていたので、彼女はこの中へ逃げ込んだ。小屋の中は干し草が山のように積んである。入り口とは反対側の干し草の山の陰へ隠れた。しばらくじっとしていたが、追ってくる気配がないので彼女は恐る恐る干し草のてっぺんから顔を出し、辺りの様子をうかがった。

男は見えない。足音も聞こえない。逃げるなら今だ。小屋を飛び出し、隣に建っている母屋(おもや)に向かって走った。家の裏口にまわると、幸いなことにドアが少し開いていた。
「この中に入れる!」

家の中に飛び込んですぐにドアを閉め、鍵をかけた。ほーっと一息ついて、彼女はその場に座り込んだ。

しかしほっとしたのもつかの間、今度は表の道路で、車が急発進したようなタイヤの音が聞こえてきた。嫌な予感がして、窓のブラインドを少し開けて外の様子を見てみた。その瞬間、心臓が止まるほど驚いた。

自分を追って来ていた男がその車に乗っており、猛スピードでこの家目指して突っ込んできているのだ。運転席では男が勝ち誇ったように笑っていた。

「キャーッ!」


その瞬間、彼女は自分の悲鳴で目を覚ました。時計を見ると午前2時。
「嫌な夢だわ・・。なんであんな夢を見たのかしら・・。」
もう一度寝ようとしたが、さっきの夢が気になってなかなか寝つかれない。

夢には心の奥底の潜在意識が反映されることがあるという。仕事も職場の人間関係も、彼氏ともうまくいっている自分としては、恐ろしい夢を見る心当たりなどないのだが、しいて言えば故郷で一人暮らしをしている母親が心配の種である。

今の夢が母親の不幸を暗示すると短絡的に考えるわけではないが、いったん気になり始めたらどんどん不安になってくる。
「朝になったらお母さんに電話してみよう。6時くらいになったら起きてるだろうし。」

結局そのまま眠れず、朝の6時を迎えた。そろそろ母親も起きているだろうと思って、受話器に手をかけようとした瞬間、逆に電話がかかってきた。タイミングが良過ぎてびっくりしたが、電話に出てみると、かけてきたのは、ジェニファーがこれから電話してみようと思っていた自分の母親だった。

「お母さん!どうしたの? ちょうど私も今、電話しようと思っていたところだったのよ!」


電話の先の母親は、何か怯(おび)えたような口調で話しかけてきた。

「今、近所のホテルに泊まってるんだけど、昨日の晩、うちに強盗が入ってね・・。銃を持っている男だったわ。

私も夜中に誰かいるような気がしたので、いったん外の小屋まで逃げていって、干し草の陰に隠れて、それから家まで走って帰ってすぐに鍵をかけたんだけど、犯人がまだ追ってきていて、車で家に突っ込まれたのよ。隣の家の人に助けを求めて警察を呼んで犯人は捕まったんだけど、昨日は怖くて家に帰れなかったのよ。

6時になればあなたも起きてるだろうと思って、一番に電話したの。」

「全部夢と同じだ・・。」母親の話を聞いてジェニファーは驚愕(きょうがく)した。母親が語った内容は、自分が夢で見た光景そのままだったのだ。


「それって何時ごろのこと?」とジェニファーが聞くと、
「2時ごろよ、まだ4時間しか経ってないの!」
と、時間まで同じだった。

ジェニファーは、母親が実際に体験していたことを、同じ瞬間に自分が夢で見ていたのである。


▼助けを求める声

ポーランドのチェルナークに住む女性、マーナ・メルチにはスタニスラウスという彼氏がいた。だが、スタニスラウスは、第一次世界対戦で兵士として戦地に向かい、そのまま行方不明となってしまった。名誉の戦死を遂げてしまったのか、それともどこかで生きているのかは分からない。マーナも、彼氏の無事を祈る生活が続いていた。

1918年10月のある夜、マーナは夢を見た。夢の中でスタニスラウスが、真っ暗闇の中で必死になって出口を探しているのだ。しかしいくら探しても出口は見つからない。彼はやがて絶望の声を上げ、その場にうずくまる。

マーナは同じ夢を何日か続けて見た。そしてそれから一年ほど経った時、またもやスタニスラウスが夢の中に現れた。今度は古い城も出てきた。その城は山のふもとに建っており、建物の一部が破壊されてガレキが積み重なっている部分がある。マーナがそのガレキに近づくと、中からスタニスラウスの助けを呼ぶ声が聞こえるのだ。

「スタニスラウスは生きていて、ひよっとして私に助けを求めているのかも知れない。」
マーナはスタニスラウスが生きていることを信じ、自分の夢の中に出てきた城を探す旅に出た。そして1920年4月、ついにポーランド東部の地方でその城を発見したのである。


夢で見たものとそっくり同じ城、そして建物は一部が破壊されてガレキが積み重なっている部分がある。マーナはガレキに向かって声をかけてみた。すると、中から返事がある。誰かがこの中に閉じ込められている。

マーナはすぐに付近の住民に知らせて応援に来てもらい、ガレキを取り除いた。そして中から出てきたのは、やせ細り、ヒゲも髪も伸び放題になっている男だった。しかしそれはまさに、マーナの彼氏であるスタニスラウスだったのだ。

スタニスラウスは第一次世界対戦の最中(さなか)、この城で休憩をしている時にドイツ軍の砲撃を受け、崩れたガレキで城の地下倉庫に閉じ込められてしまったのだ。

幸い、倉庫であるだけに食料も保存されていた。スタニスラウスはこの中にある食料を食べながら1年半も生きのびてきたのである。マーナが夢を見始めた時期こそ、スタニスラウスが閉じ込められた時期だったのだ。救出され、再会を果たした二人は後に結婚した。



Top Page  怪事件・怪人物の表紙へ  No.136  No.134