未確認動物の目撃例は従来、「本物の未確認動物を見た」「既存の動物の巨大化や奇形」「草の茂みや流木などの見間違え」という三つのパターンがほとんどであったが、近年は、「創作された未確認動物」というパターンも増えてきた。

UMAマニアの好き過ぎるが故(ゆえ)の行き過ぎた行動か、金儲けのためか、あるいはアーティストが自分の技術を試したいのか、理由は様々であろうが、本物と偽物を見分ける目が大事になってきている。

このコーナーの「未確認動物・UMA」のファイルには、本物の可能性が高いものを集めたが、このファイルは、明らかに偽物か、その可能性が高いもの、都市伝説やジョークニュースを集めてみた。

▼ホワイトマーマン




アメリカ・フロリダ州のサンクトペテルブルグの南に位置する、フォートデソート海岸に漂着していた奇怪な生物の死体。

体長は約1.5メートル、上半身は人間に似ており、下半身は魚そのものである。腰から尾ヒレの部分まではウロコで覆われている。頭にもヒレのようなものがついており、開かれた口からは牙が見えている。

この死体は海外オークションである e-bayに出品され、2006年7月22日に日本円にして約18万円で落札された。

最近のアメリカでは、アート作品にこのようなドラマをつけて販売する手法が流行っており、この奇怪な生物も、その一つであるという意見が多い。

▼身長15メートルの巨人


バングラディシュの新聞「ザ・ニュー・ネーション」に掲載され、ドイツのサイトでも公開された写真。サウジアラビア南東の砂漠地帯で、天然ガスを採掘していた会社が、その作業中に掘り当てたものとされている。

頭部の大きさだけでも2メートルあり、身長は15メートルと推測される。太古の地球は現在よりも重力が弱く、巨大生物が多かったとはいえ、これほどの巨人が果たして本当に存在していたのかどうか。
様々な議論を呼んだが、後日合成写真だったことが判明した。

▼人魚のミイラ




2007年7月、フィリピンの海岸に漂流していた人魚の死体であるという。人魚といえば、顔は美女というイメージがあるが、この顔はひからびているとはいえ、男の老人という感じである。

不思議な生物のミイラといえば日本にも例があり、江戸時代には妖怪のミイラが多く製造され、工芸品として輸出されていたこともある。これは職人仕事であり、様々な動物の死体を組み合わせて色々な妖怪の死体が作られていた。

人魚のミイラは、日本ではサルと鮭を組み合わせて製造されていたらしく、当時のオランダとの貿易記録にも「人魚」という項目が載っていた。このフィリピンの人魚の材質までは不明であるが、そういった工芸品の一種であると言われている。

▼イカンアネフ




インドネシアの海岸に漂着していた、異様な姿の魚。この地域では海の怪物のことをイカンアネフと呼ぶが、その一種であると思われる。

体長は40センチから50センチほどでありながら、動物のような牙が生えている。頭に直接シッポがついたような形をしており、口が異常に大きい。顔はとても魚類といった感じではない。

回収されてからの詳細は不明であるが、これもアーティストが製作した作品の一つとの意見が多い。

▼天使の骨


2008年3月に南アフリカの洞窟で発見されたとされている、天使の完全なる骨格。

推定年代は3億5000万年前で、超古代には地球上に天使が存在していたということを裏付けるような発見である。分析によると骨はサルと人間の両方の特性を持っているという。

しかし3億5000万年も経っていれば化石となっていることが普通で、これだけ完全に揃っているということは創作である可能性が極めて高いと言われている。

▼三本脚の部族


様々な都市伝説を写真入りで紹介するアメリカのタブロイド新聞「ウィークリー・ワールド・ニュース」で紹介された、三本脚の部族。

南太平洋の、トンガとクック諸島の間にあるニウエ島。そのニウエ島近くの、ある島を1989年、アルゼンチンの人類学者アナトール・ディマント博士を含む4名の調査員が訪れた時、偶然発見された。

彼らは三本脚の部族で、オクラダ族という。

初めて出会った時から彼らは友好的で、博士たちの脚が2本しかないことに驚いていたという。

彼らの生活を見せてもらったが、寝る時には主にハンモックを使い、真ん中の脚をハンモックに開けた穴から垂(た)らすような姿勢で寝ていた。

また、イスは使わず、真ん中の脚で体重を支えて、その間、他の2本の脚を休ませていた。

博士たちはこの後2回に渡りこの島を訪れ、記録映像を医学界に見せたが、突然変異が代々受け継がれてきたものだろうと言われた。

という記事であるが、ウィークリー・ワールド・ニュース誌の性格からして、まさに都市伝説かジョークニュースの類に入る。

▼マンドレイク


男女の姿をした植物の根。マンドレイクとは、ヨーロッパの伝説に登場する植物で、根が人間の姿をしており、その植物を引っこ抜くと植物が凄(すさ)まじい叫び声を上げ、その声を聞いた人間は死んでしまうというもの。

写真のものは中国・山東省のマーケットの、ある露店で販売されていたもので、植物そのものは漢方薬の材料となるものである。

1体だけでなく、男女2体の姿が見事に形作られており、あまりに出来過ぎていることから、人工的に作られたものではないかと言われている。

山東省は巨大な市場であり、多少創作したものを販売しても、それを信じて買う人がいる可能性は十分にあり、一儲けを狙ったものではないかと考えられる。

▼中国の野人(やじん)






ビッグフットと同様に、中国にも山間部に野人が存在するという。昔から野人を射殺したとか捕獲したという話が伝わってはいたが、話のみで現実的な証拠はなかった。

野人は中国・湖北省 神農架地区に特に目撃証言が多く、ついにカメラによって捕らえられた映像が写真の野人であり、これは野人の子供だとされている。

身長は2メートル近くあり、人間同様に2本の足で立って歩く。現地では野人と人間の混血も数人いると伝えられている。

しかし中国では、一部の地域に限ったことではあるが、知的障害者を全裸にして山に放ち、写真を撮って「野人が出た」と発表し、観光客を集めるという村起こしを行っているところもあり、その可能性も高い。日本では考えられないような人権を無視した政策である。

この写真の男がそうだと断言はされていないが、野人でありながら散髪に行っているようであるし、全裸で山で暮らしているにしては肌が綺麗過ぎるため、限りなく灰色の存在と言える。

もちろん、中国の野人の目撃証言が全て嘘だというわけではない。中には真実の情報も混じっている可能性もある。

中には、ただ「見た」というだけではなく、「数日間、野人と一緒に暮らした」とか「メスの野人に強姦されてセックスを強要された」など、中国独特の情報もあり、野人に関する情報は次から次へと出てきている。

あれだけ広い国土であるから本物の野人がいても不思議ではないが、中国の野人は、他の国の目撃例に比べれば、演出された率は高くなる。


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