NY特派員K氏のレポート
先日から、ニューヨークから日本酒に関するレポートを送ってもらっている「K氏」から、またまた考えさせられる、レポートが
届いたので、ここで紹介させていただく。
Gekkeikan USAに以下の質問をしました。
【原文】
I have two questions. First, does full amount of Sake produced by
Gekkeikan Sake (USA), Inc. have no distilled alcohol added to it?
Second, if no distilled alcohol is added to Sake, why?
According to your representation, Gekkeikan Sake (USA), Inc. produces
Sake which is made with rice only; no distilled alcohol is added at
all. On the other hand, in Japan, distilled alcohol is often added
at the final stage of brewing for several reasons. Especially, most
Sake produced by Gekkeikan Japan has copious amounts of distilled
alcohol added to it at the final stages to increase yields (and to
increase profit).
So I would be rather surprised ifGekkeikan Sake (USA), Inc. produces
Sake without adding distilled alcohol. This is why I
have the above-mentioned two questions. I look forward to hearing
from you.
【和訳】
ご質問が二つあります。ひとつは、Gekkeikan Sake (USA), Inc. が造る酒の全量が蒸留アルコール無添加なのですか?二つめが、もし蒸留アルコール無添加だとすれば、何故ですか?
貴社のご説明によれば、Gekkeikan Sake (USA), Inc. は米だけで酒を造っております・・・すなわち、蒸留アルコールは一切添加されていません。一方、日本におきましては、いくつかの理由により、醸造過程の最後に蒸留アルコールが添加されることが少なくありません。特に、日本の月桂冠が造る酒の多くは、生産量を増やす為に(そして利益を増やす為に)、醸造の最終
過程において大量の蒸留アルコールを添加します。そのため、私は、もしGekkeikan Sake (USA), Inc. が蒸留アルコールの添加無しに酒を造っているとしたら、驚くべきことだと思っています。
これが、上記の二つの質問をさせていただいた理由です。
お返事を楽しみに待っております。
この質問に対し、以下の返事がまいりました。
(回答者はFlorence
K. Moodyという人)
【原文】
Our domestic product doesn't contain added alcohol because, distilled
products are taxed at a much higher level by the federal government.
【和訳】
当社の米国内製品は、添加アルコールを含んでおりません。なぜならば、蒸留製品は、連邦政府により非常に高い水準で課税されるからです。(訳者注:蒸留アルコールそのものの税金が高い〜よってアル添した方がコスト高になる〜から添加しないのか、蒸留
アルコールが添加された製品にかかる税金が高いのかは直接読み取れないが、アル添した最終製品が割高になるということは間違いない)
どうですか。利益最優先って思想に基づくと、結果として米国においては純米酒しか造れないという、非常にねじれた現象が生じています。
このねじれ現象、日本における酒税のあり方のおかしさに起因してますよね。こっちの考え方の方が、よほど分かりやすい。合理的です。
醸造酒と、醸造酒以外は別物という当然の捉え方をしていますから。味は別として。こういうことを意識している日本人って、ごく少ないんだろうなあ。なんか、すごーく複雑な思いです。社会システムによって酒の造り方が変わるなんて。日本においてあるべき姿が日本になく、何も知らない米国に何も知らないがゆえに日本(酒)のあるべき姿がある。。。なんとかならんもんですかね。
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店主による補足…蛇足とも言う。(^^ゞ
↓↓↓↓
アメリカではアルコール添加酒は日本でいうところのリキュール類と同じような扱いになる。
レポートの月桂冠からの答えだと蒸留アルコールに対する税率が高くそのために、アルコール添加酒はコスト高になり、高く売らなければならないようですね。
日本でもし、アルコール添加酒がその本質通りの「リキュール類」に分類されたら、今の度数では、やはりアメリカと同じように「清酒」の税率より高くなります。
醸造酒に、添加物を加えてあるのだから、混成酒つまりリキュール類とした方が、日本人にも海外の人にも、よりわかり易いのであるが、やはりアル添酒中心の大手にとってはやりにくいのでしょうね…。
今、日本酒蔵がこれ以上減らないようにするには、世界進出も視野になければならないはず。それなのに目先の利益にとらわれ、決して海外では理解されない混成酒まで醸造酒の分類にいれていてはかなわぬ夢である。
間違えないで欲しい。
ここでの理論は、アル添酒をなくせという事ではない。分類を変えないといけないのではないかという事です。
ただ、純米とほぼ変わらない値段のアル添酒をそれでもありがたがって飲むのか?それは、私には理解できない。 店主
ずんぐりして見えるのは、写真の所為ではなく、これはマグナムボトルつまり、1.5L入りだからです。
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