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刑事告訴状

 平成14年7月1日 岩国警察署へ、『刑法第211条 業務上過失致死罪』にて刑事告訴
  (警察の捜査に支障をきたす懼れが考えられたため、一時公開を控えていました。)

 平成15年2月に捜査終了、2月14日に山口地方検察庁岩国支部に書類送検

 平成16年5月7日 山口地方検察庁岩国支部、「不起訴」決定

 私達は平成16年5月17日 検察審査会に処分の「不服申立書」を提出

 平成16年6月9日 検察審査会、
「不起訴、不当」の議決
  (検察審査会の議決の理由は下記のとおりです。)

 平成16年6月14日 山口地方検察庁、「不起訴」決定

 平成16年6月15日 時効


『不起訴処分、不当』議決理由

 本件は、申立人が出産のため、平成11年5月31日産婦人科医に入院、6月1日出産したが、入院当初から母体に異常が現れていたにもかかわらず、被疑者春名好子は適切な医療行為を行わず、自然分娩にこだわり時間を費やした後、帝王切開に着手したため、長時間低酸素状況に置かれた胎児は、重度の新生児仮死状態で出生した。出生後総合病院へ搬送されたが、被疑者春名伸彦も被疑者春名好子を指導監督すべき義務を怠り、また、蘇生術にも不備があり、6月16日搬送先の総合病院で死亡したというものである。
 参考人医師及び鑑定人いずれも死亡の原因、時期等について特定できないと述べている状況の中で、特に本件に関しては、生命を預かる医師の業務上過失致死を争う事案として検討した結果次のような疑問が生じた。
(1) 被疑者春名好子の過失について
   入院当初から異状があったのだから、注意深い診察が必要な患者であり、特に医師の点検検証が必要であった。信頼性が3割程度と言われている分娩監視装置を過信せず、早い時期に総合病院に搬送していれば、また、帝王切開を参考人医師や鑑定人が述べている時間ころに実施していれば、胎児の死亡を回避できたのではないか。
(2) 被疑者春名伸彦の過失について
   告訴人の異状を把握していたのであるから、帝王切開の時期等について、実質的院長であり、指導、監督する立場にあるところ、その義務を怠った。
 以上のことから、医療現場では、順調に経過していたのに通常と異なる症状が現れれば、最悪の可能性も考えながら、その場その状況において適切な処置をとることや他の医師等の意見を参考にすることも必要である。本件の場合についてもその処置がとられていれば、死をさけられていた可能性もある。
 死亡の原因等が特定できない中で医師の過失を問うことは難しいを考えるが、医師は判断ミスや技術的ミスは許されない立場にあり、常に最善策、安全策をとらなければならないと考える。
 本件は特異まれなる症状であるとはいえ、被疑者の更なる医療過誤を防ぐ意味から、また、家族の心情を考えて、当検察審査会は検察官に再考を要請するものである。



不服申立書

不起訴処分を不当とする理由
 本件は何らかの医療行為を施行したことに起因する過失ではなく、医師として適切な医療行為を何もしなかったことに過失がある。検察の捜査において、長男将輝の命が何時の時点なら助かったものかの判断がつかないとの理由で不起訴としているが、たとえ最悪の状態を回避できる時点が断定できなくとも、入院時より分娩監視記録等に異常所見があり、主治医である被疑者好子の監視下において状態が悪化し、死に至らしめたことは紛れもない事実であり、罪に問われて当然である。

*意見書
 民事訴訟において、本件における医師の過失は確定しているものの、被疑者両名に反省、医療現場の改善はない。事実、本件以降に「はるなウィメンズクリニック」では同様の医療過誤が再発しており、また私達の開設するホームページには同クリニックの受診者及び雇用スタッフからも両被疑者の行う医療行為に対し、疑問や不信感を抱いた等のメールが数多く寄せられている。
 被疑者好子の医師としての裁量の無さは検察の捜査においても明白であり、同人同様のリピーター医師が多発していることは、マスコミ等の情報からも周知の事実である。医療過誤の被害者がひとりでも減少するためには、医師法に守られた医師に対する罰則は強化されなければならないと痛感する。
 将来、国民が安心して受けることができる医療のためにも、本件が画期的な判例となることを強く願う。



告訴事実

 被告訴人春名伸彦と被告訴人春名好子は共に医師の夫婦であるが、被告訴人春名伸彦は住居地において『はるなウィメンズクリニック』を経営しており、被告訴人春名好子は、『はるなウィメンズクリニック』において産婦人科の医師として稼働しているが、平成11年6月1日同病院において分娩中の告訴人○○K代の激しい陣痛が続いていたにもかかわらず、子宮口が全開せず、一方同日午後4時12分頃には、胎児心拍数の基線細変動幅は極度に減少しており、また発熱・破水・羊水混濁等の事実もあったのであるから、被告訴人H ♀において、遅くとも同時刻頃には帝王切開術に着手すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠り、いたずらに自然分娩を待ち、或いは吸引分娩を行なうなどして時間を空費し、ようやく同日午後10時30分頃になって帝王切開術に着手した過失がある。告訴人○○K代は、同日午後10時59分長男将輝を分娩したが、将輝は長時間低酸素状態に置かれたため、重度の仮死状態で出生した。
 しかも同医院における蘇生術も不備であったため、将輝は午後11時32分国立○○病院に搬送されたが、いかんせん手遅れであり、入院治療の甲斐もなく、平成11年6月16日同病院において死亡するに至ったものである。
 被告訴人春名伸彦は、『はるなウィメンズクリニック』の経営者として被告訴人春名好子の分娩介助行為を監督し、帝王切開術の着手が遅れていたならば、直ちに着手するよう指示すべき注意義務があるにもかかわらず、これを怠った過失がある。また将輝に対し、適切な蘇生術を施さず、将輝を死亡せしめた過失もある。


告訴罪名及び罰条

 業務上過失致死罪 刑法第211条


本件告訴に至る事情

 告訴人両名は、被告訴人春名好子の処置に疑問を抱き、平成11年7月16日被告訴人春名好子と面会し、将輝が重症仮死状態で出生した原因が同人の処置の誤りにあるのではないかとの疑問を直接尋ねたが、被告訴人春名好子からは自己の過失を認める発言は得られなかった。
 しかしながら告訴人両名の疑問は、被告訴人春名好子の説明では全く解消されなかった。それどころか被告訴人両名に医療上の過失があるとの疑いがますます深まり、平成11年12月1日山口地方裁判所岩国支部に被告訴人両名を被告とする損害賠償請求訴訟を提起した。同訴訟は現在係属中であるが、平成14年3月7日山口県立○○病院において鑑定人U○K○の証拠調べがあり、同鑑定人の供述から、告訴人両名は、被告訴人春名好子には、平成11年6月1日午後4時12分頃に帝王切開術に着手すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠った過失がある旨を確信するに至ったものである。
 告訴人両名は同訴訟において、異例の謝罪を含む請求をしている。同訴訟において、被告訴人両名は、過失の全面否認に加え、告訴人に対し被害妄想である等の名誉毀損をも伺わせる旨の主張もあり、そして上記証拠調べ後に及んでも、過失を認め、謝罪する姿勢は全くなく、医師としての力量不足に加え、医療従事者としては勿論、人間としての倫理観の欠如を疑うものである。医学的観点から亡将輝の病態説明及び死因の究明をすることもなく、同訴訟において虚偽を続ける被告訴人両名の姿勢は悪質極まりなく、刑事責任を厳しく追及する外ないと考える。
 よって厳重処罰を願う次第である。


添付書類

 1.訴状(民事訴訟 H11年11月25日付)
 2.録音テープ反訳書
 3.分娩監視記録
 4.証拠調べ調書 (H14年3月7日付)
 5.カルテ一部
 6.死亡診断書
 7.解剖記録
 8.その他訴訟関係資料を必要に応じ提出します。


警察の捜査において、我妻尭鑑定医をはじめ、九州大医師及び地元医師2名が被告訴人H ♀の過失を認める証言をしています。そして、はるなウィメンズクリニックを退職した看護師等も同様の発言をし、一部では、被告訴人春名好子の精神面を指摘した元看護師もいます。
警察捜査において、医療従事者がこれほど告訴人寄りの発言をするのは異例ということでした。

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