猪谷千春氏・窪田登氏の行った「ながら式トレーニング」

1956年、冬季オリンピックのスキー回転競技で銀メダルを獲得した猪谷千春(いがやちはる)氏は、かつてスキー留学でアメリカへ渡ったことがありました。しかしアメリカへは来たものの、氏は十分に英語を話すことが出来ず、まずは現地の言葉である英語を覚えなければなりません。

トレーニングもしなければならないが、英語の勉強もしなければならない・・そこで彼は、床の上に英語の教科書を置いて、それを読みながら腕立てをしたということです。


また重量挙げの選手として、第1回から第3回までのアジア大会、及び第17回オリンピックに出場し、現在ウエイトトレーニング関係の著書も数多く出されている窪田登(くぼたみのる)氏は、 その高校時代、学校のテスト期間中には、床の上に寝てベンチプレスのような運動をしながら、1セット終わるごとに明日のテスト科目の教科書やノートを読んでいました。この方法は、大学の受験勉強の時にも行っていたということです。

また電話がかかってきたら、話をしながらカカトを上げたり下げたりしてふくらはぎの運動をしたり、腹を思いっきり引っ込めて腹筋を刺激したり、などということもやっていました。

同じく高校時代、窪田氏はトイレに一回行ったら腕立てを30回やる、と決めていたこともあったそうです。 夏休みなど、一日中家にいる時は5~6回トイレに行くのも普通で、そのたびごとに腕立てをしていたら、一日のトータルでは150回から180回にもなります。
一日の後半になると、トイレに行くにもちょっとした決断が必要だったかもしれません。

新聞を読んだら、そのページの端を持って強く握り、片手で少しずつボールのように丸めていきます。一回一回、全力で握りしめ、最後はその新聞紙が手のひらに入る大きさにまで丸めます。もちろん、これは前腕(握力)のトレーニングのためです。

「ながら式」の練習は時間のない人にとっては有効な手段ですが、いざ実行するとなるとやはりある程度の精神力が必要になってくるかも知れません。


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