トレーニングの量に関して~マイク・メンツァーの手記より

トレーニングの一ヶ月の頻度や、各ボディパートに対して何セット行うか、ということについては、人によって結果を出してきた方法もバラバラであり、頻度やセット数に関しても生活や時間的な制約もあってこれまた人によって違っています。

ここではとりあえずサプリメントのことは置いておいて、トレーニングの量に関することが論点となります。 以下は、マイク・メンツァー(2001年6月他界)の書いた記事を参考・要約したものです。


アメリカのトップビルダーたちを取材した記事によりますと、 彼らの多くは1回のトレーニング時間は2時間までを目安にしており、ひとつの部位に対してのセット数は12セットから20セットの人が多いようです。そしてトレーニングを行う日は週に6日。ですから一週間に1日は完全に休養することを勧めています。

しかし、こうした多くの主張の中にあって、かつてミスターアメリカを獲得したスティーブ・ミケイリックは、1日あたり一つの部位に対して75セットから100セットを行っていたということです。

一つの部位に対し、12セットくらいがよいのか、あるいは100セット行うのが(すなわち多ければ多いほど)よいのか、ということに関しては、常識的なラインはあるものの、人よってかなりの幅があり、明確に「何セットがよい」というはっきりした数字はありません。


「筋肉は使い過ぎると萎縮する」「オーバーワーク、つまりやり過ぎては逆に筋肉は発達しない」ということは医学的にも証明されていますし、昔から普遍的に言われていることです。

でしたら、リー・ヘイニーや、アーノルド・シュワルツネッガーは・・?
1970年代、シュワルツネッガーがMr.オリンピアに出場する際にはほとんど毎日のように4時間から5時間のトレーニングを行っていたといいます。また、シュワルツネッガーに限らず、同年代のトップビルダーで、毎日のように5時間くらいトレーニングを行っているビルダーも数多くいました。

教科書に書いてある筋肉の発達の原則に照らし合わせると、これはやり過ぎということになってしまいますが、意に反して彼らの身体には莫大な量の筋肉がついています。

筋肉の発達に関しては確かに常識や原則というものはあるものの、その常識をものの見事にひっくり返している人が存在するのも事実です。


では今度は逆のことを考えてみます。トレーニングの時間が極端に少ない場合です。トレーニング時間が少なければ、筋肉の発達にはほとんど効果がないのでしょうか。それに関しましては、ここに興味深い実験結果があります。

1973年にコロラド州のフォート・コリンズ大学において、ボディビルダーであるケーシー・ヴィアターを被験者として、一ヶ月間でどれくらいの筋肉がつくのかを測定した実験が行われました。

トレーニングの方法は、高い強度で短時間で切り上げるという方法で、1回のトレーニング時間は30分。そして行う頻度は週3回。
ですから、一ヶ月の間にケーシーが行ったトレーニングは、計12回、時間にして6時間くらいの、わずかな時間です。

ですが一ヵ月後のケーシーの身体の測定結果は、体重は75.3kgから96.2kgに跳ね上がり、見事な筋肉質の身体が出来上がっていました。 この実験を行った運動生理学者のエリオット・プレズ博士が、放射性同位元素測定法によって、精密にケーシーの身体の脂肪を測定した結果、脂肪の方も7.7kg減っていたということです。

ケーシー・ヴィアターは当時19歳でMr.アメリカに出場してきましたが、その時話題になったのは、彼が週3時間くらいのトレーニングで、その身体を造ってきたということです。


トレーニングの量に関して、あるいはその方法に関して、マイク・メンツァーは次のように結論付けています。

・短時間の強度の強いトレーニングの効果を疑問視して、「トレーニングの量は多いほうがよい。」という理論で行っている人の方が世の中に多いから、そちらの方が正しいと主張する人に対して私はこう言いたい。
「個人の選択に任されていることを統計によって一般化しても意味がない。

・もっともらしいトレーニングをありがたがり、いつかどれかが効くかも知れないという希望のもとに、様々なトレーニング法を次から次へと試すことのないように。
と。


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